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バンコクで働くエンジニアのメモ

『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』を読み、仮想通貨や今後の働き方について考えさせられた


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『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』を読み、ここ最近読んだ本の中で1番面白く、学びが多かったです。

本書を読んでいくなかで、覚えておきたいと思った部分を紹介します。

お金と仮想通貨について

本書のタイトルである「お金」とは何かをいうと、『価値を運ぶツール』であり、保存、尺度、交換の役割があるものです。
紀元前1600年前からお金はあり、中央銀行がお金を刷って国の経済をコントロールしたのは最近(1694年)のことである。


仮想通貨が最近話題になることが多いですが、「仮想通貨は詐欺だ!あやしい!お金の代わりにならない」と言った意見も聞きます。
お金の歴史から考えると誤った考えかもしれないと思いました。


本書の中で、『新しいものは出てきたときに、それに似た業界の前提知識があると、その知識に当てはめて新しいものを見てしまう傾向があり、それが今でいう仮想通貨のことであり、全く新しいルールで回っている新しい仕組みとして考えるべきである』と書いてありました。

この考えは共感ができ、日本円ができたのも最近のことで、昔は貝殻がお金の変わりだったように時代とともに貨幣は変わっていくので、自分の既存の知識の枠で物事を考えるのは良くないと思いました。

【持続的に成長する組織】【拡大するサービス】を作るために経済システムを取り入れる

ここらへんの話は、組織やサービスを作る上で非常に参考になりました。


まず、経済システムという言葉を聞いてなんのことかイメージできる人は少ないと思います。
本書で言う経済システムとは、『人間が関わる活動をうまく回すための仕組み』であり、5要素から成り立っているとありました。

経済システムを構成する5要素
  • インセンティブ・・・報酬が明確であること
  • リアルタイム・・・時間によって変化する=常に状況が変化する
  • 不確実性・・・運と実力の両方の要素がある(未来が予測できない)
  • ヒエラルキー・・・階層や序列の可視化
  • コミュニケーション・・・経済システムに参加する参加者同士のコミュニケーション


成長する企業や拡大するサービスは、個人依存せずに仕組みで動き、経済システムの5要素をうまく取り入れているとあり、Facebookや小米(中国の端末メーカー)を例に出して5要素を解説する部分は興味深かったです。


インセンティブやヒエラルキーが必要な要素なのは想像できましたが、個人的に不確実性という要素が気になりました。
不確実性がない方が、安定した環境を提供でき拡大できると思っていました。


本書の中で、不確実性を説明している部分で

  • 「不果実性が全くない世界では想像力を働かせて積極的に何かを取り組む意欲が失われる」
  • 「生まれた瞬間から死ぬまでの結果がわかってしまう世界があったら必死に生きたいと思うか?」
  • 「自らの思考と努力でコントロールできる要素と全くコントロールできない要素がバランスよく混ざっている環境の方が持続的な発展が望める」


ということが書いてあり、確かに自分は、チャレンジのないずっと安定している職場だったらいつか飽きて転職するなと思いました。

人間の脳と経済システムと自然の関係

本書の中で、人間の脳と経済システムと自然の関係は、人間の脳 < 経済システム < 自然であると書いてあります。

経済システムを理解するためには、人間の脳を知ることが近道です。
人間の脳には報酬系という神経回路があり、それによって経済システムは上手く回っています。
経済の仕組みと似ているのが、自然界であり、自然が経済に似ているのではなく、経済が自然に似ていたから、資本主義がここまで広く普及したとありました。

人間の脳の仕組みを使って経済システムの5要素を説明している部分はとても面白く、納得する部分も多かったです。
また、ダ・ヴィンチがどうして音楽、数学、芸術、力学など様々な分野で類な才能を発揮したかについても書いてあり読んでみてください。

小並みな感想ですが、脳の仕組みについて、勉強したいなと思いました。

テクノロジーとお金

本書の中で、これからの10年を考えるキーワードとして『分散化』をあげていました。
『テクノロジーによって仕組みの分散化』が進んでいくと言う話があり、UberAirbnbを紹介しています。
そして、この分散化は経済にも起こるありました。


今、仮想通貨は投資目的(自分も。笑)で盛りがっていますが、これからトークン(ネットワーク内で流通する通貨)を用いて、国家がやってきたことを企業や個人が簡単にできるようになり、その中で経済圏が作られるようになります。
これによって、国家のお金の価値(重要性)がなくなります。


多くの国で仮想通貨に規制をかけようとしていますが、国家を守るために各国が規制をかけるのは当然だと思いました。

  • 200 年前に中央銀行が通貨を管理するのはおかしいという議論がされた
  • 40年前に金の代わりに紙幣を使うが、ただの紙切れでは?という議論がされた


今では当たり前のことでも、中央銀行や紙幣がでてきたときにいろんな批判がありました。
時代やテクノロジーの進化によって、お金が仮想通貨に変わっても、20年後から見たら不思議なことではないのかなと思いました。

資本主義から価値主義へ

本書の中で、分散化によって国家のお金の価値が下がり、資本主義から価値主義に変わっていくという話がありました。

価値主義とは価値とは
  • 有用性としての価値

役に立つかという観点で考えた価値

  • 内面的な価値

共感、興奮、愛情などの実生活で役に立つかわからないけど、人の内面にポジティブな効果を及びすもの

  • 社会的な価値

個人ではなく、社会全体の持続性を高める活動


資本主義は、有用性としての価値だけを見てます。
しかし最近は、テクノロジーによって、内面的な価値も数字化できるようになりました。
これによって、内面的な価値をお金に交換することができます。
内面的な価値をお金に交換している例として、youtuberやインスタグラマーなどを説明している部分があり面白かったです。


今後は、お金などの資本に変換される前の価値を中心とした世界に変わっていくとあり、自分の価値をいかにあげるを考えて働くべきだなと感じました。


詳しい内容は、ぜひ読んで見てください!!!


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